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まりんご



いつか、ずっと前、ギターをかついで部室に入ると、知らない女の子が立っていた。ベリーショートの髪型で、背が低いのにロングワンピースをひきずるように着ていた。福岡からやってきた、まりんごだった。

わたしはその子に初めて会って、ただ漠然にすきだと思った。


「見ちゃダメよ、あっち、見ちゃダメ」
学食で2人でうどんを食べているとまりんごがわたしの背後を見てそう言った。
「え、なに?」
「いいから。大丈夫」
わたしは忠告を無死して振り返った。貴音先輩だった。となりにいる女の人が先輩にもたれかかるようにして立っていた。
「見ちゃダメって言ったのに…」
まりんごがため息をついた。
わたしはびっくりして言った。
「なんで、別にそんなんじゃないよ、わたし、別にそんなんじゃないよ」
同じことを2回言った。まりんごが笑った。
「どっちでも別にいいけどさ」
わたしはもう一度振り返って見た。綺麗な栗色のボブの女の人だった。顔は先輩に隠れてよく見えなかった。
先輩に彼女がいることは知っていたし、わたしは別にそんなんじゃないし、だから、別にどうってことないんだけれど。貴音先輩の弟子で、いつも部室で先輩と一緒にいるわたしは、ほかの人から見ればそんなふうに見えたのかもしれない。もちろん先輩のことは大好きだけど、別に、そんなんじゃない。たぶん。

たぶん。


まりんごには高校の時から2年間付き合ってる彼氏がいる。この前まりんごの家で写真を見たけど、今までまりんごから色々な話を聞いてイメージしていた彼とは全然違った。わたしはワイルドでタフな人を想像していたんだけど、まりんごと一緒に写っている男の人は、華奢で繊細そうだった。
「もうだめだと思う、東京と福岡だし」
「そんなことないんじゃない?」
「だめだよ、あいつ気が多いし」
そう言ってまりんごはソファーに転がった。
部屋の面積をとりすぎている赤いソファー。ひとめぼれして買ったんだ、と言っていた。8万円だったと。お金持ち。
「2年つきあったのになー、2年って長いよねー、それだけ付き合ってたらもう全部相手のこと知り尽くしてるっていうか、もう全部わかるっていうか、だから、もうあたしたちダメなんだと思う」
床にはA3サイズくらいの画用紙、描きかけでやめている彼氏の絵が落ちていた。緑色のクレヨンを大袈裟に使って描いてあった。とてもまりんごらしい絵。
「それ別に彼氏を描こうと思ったんじゃなくて、そのじゃれてる犬が可愛かったからさ。その写真がすごく好きなんよ」
そっか。2年か。
わたしにはわからないけど。そうなんだろうと思うし、そうじゃないとも思う。
でも、そういうの、とても羨ましいと思うよ。

ねぇ、まりちゃん。

わたしはまだ半分みどりのりんご。
あかりんごまでもう少し。

まりんごが描いてくれたこの絵は自分の部屋の入り口の壁に貼ってある。
いくらか部屋が明るくなったように思う。




長野の音楽室


真佐美を待っている間、サークル入部募集の掲示板を見てた時に貴音先輩に声をかけられたんだっけ。
もともと音楽系のサークルに入ろうと思ってた。
それがそうしてこうなって貴音先輩(部長)の弟子になって、長野にいた。

合宿の朝は早い。
わたしは、まりんごと他数名の女子と同室で、いつも一番先に起きた。
長野の朝は空気が透明より透明だ。早朝に外を歩いていると貴音先輩に出会った。先輩はいつもコーヒーを飲んでいる。殺人的な量の砂糖を入れて。そして殺人的なハイライトを吸う。煙草はとても嫌いだけど、香水と煙草の混じり合った先輩の匂いはなんとなく好きだった。
「先輩絶対早く死ぬよ」
先輩に対しても丁寧語が使えない(使わない)のがわたしの悪い癖だ。
「別に」
“別に”というのは先輩の口癖だ。嫌なことを言われた時や、答えるのが面倒な時、照れくさい時などにいつも繰り返す。その微妙なニュアンスで彼の気持ちを汲み取ることにも、もうなれてきたころ。わたしが先輩に出あって、このサークルに入って、まだ三ヶ月、されどもう三ヶ月。
わたしの課題はバッハの「主よ人の望みの喜びよ」を弾けるようになること。課題は師匠の貴音先輩が決めた。
「ねぇ、ちょっとギター弾いて?」
煙草を吸い終わるのを待って、先輩のギターケースの横にしゃがみ込んで言った。
先輩はいつもわたしの好きな曲を弾いてくれた。知らない曲でも、どんな曲でも、わたしの好きな曲になってしまう。
先輩は無言でギターを取り出して「放課後の音楽室」を弾いた。もう何十回も聴いているのに、決して飽きない。それどころか、毎回その音にドキリとさせられる。
きれいな指、とわたしはいつも思う。わたしは先輩と同じように草の上に座って横顔を眺めた。
朝の日差しは柔らかくて、木々の隙間から穏やかにわたしたちを照らし出す。朝の空気と、日差しと、湿度。それは彼の弾くギターの音と、不思議なくらい共鳴していた。

「弾けるようになった?バッハ」
曲を弾き終わった先輩は、目を細めながら訊いた。
「まあね。聴く?聴きたい?」
わたしは先輩の持っているサリンジャーを取り上げた。サリンジャーっていうのは、先輩の持っているクラシックギターの名前。ちなみにアコースティックギターは「カーニバルの灯」略して「カー」だそうだ。なぜそんな名前をつけたのかは知らないけど、でもとても先輩らしい。
「聴かせたいんだろっ」
先輩は子供みたいな顔で笑う。この顔がわたしは大好き。先輩はいつもおかしいくらいに子供っぽい。4つ年上だと思えないくらい。物事に対してすぐ熱くなるし、大騒ぎが好きだし、気に入らないとすぐにすねる。でもそれが貴音先輩の魅力的なところだった。誰にでも好かれる。表情がくるくる変わるのも、素直すぎるところも。
「この曲で気をつけるのはね」
弾き始めようとしたわたしをさえぎって、先輩は師匠っぽくアドバイスをくれる。
「二分音符の所はしっかり二分音符の長さだけ押さえるようにするってとこだね。離してしまいがちがけど」
わかった、と言ってわたしは源を弾いた。先輩はいつものように長いまつげを伏せて、軽く三回頷く。
空気がとてもきれい。
わたしは弾き終わってから、部屋に戻った。まりんごが起きていた。
「もー、どこに消えたか心配したんだからー」
笑ってハイタッチをした。退屈で忙しい夏休みっていいなぁと思った。

スカイツリーった

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おはこんにちばん。
この前スカイツリーに行ってきました。高いところ大好き!でも人が多すぎて疲れた!
もっと落ち着いてからチケットとったほうがよかったかもしれないね。

地上にできるスカイツリーの影が素敵でした。

建物も車もいっぱい見えて、人間ってこんなにたくさんいるんだなぁ…としみじみ。
そんな中でわたしたちが出会えた奇跡。


床がガラスになってて下の景色がみえるとこあったんだけどね、お父さんがガラス部分に乗るの怖がってて笑えたよ。落ちるわけないでしょ(≧∇≦)

はるか

120520_1649~010001.jpg
わたしの情熱はいまや、流したはずの涙より冷たくなってしまった。
どんな人よりもうまく自分のことを偽れる力を持ってしまった。

圭さんが上野のジャングルで迷ってる間に、わたしたちは純粋を失った。
とても正しいことをしたと思っている。
いつでも気軽に会えるようになるくらいなら、もう二度と会えないくらい苦しい思いをしたかった。


圭さんには、ずっとずっと、もう何年も何年も会いたくて会えずにいた。
偶然、会えた。
突然、会えた。
しかも上野のジャングルで。

「ねぇ亜美」
圭さんはそう言って一枚のハガキを鞄から取り出した。
2年前のわたしの学校の文化祭のお知らせだった。赤いイラストが印刷されている。
「仕事用のこの鞄にずっと入ってたんだよ。亜美がひとこと、見に来てね、って書いてるでしょ、ここに」
うん。
「絶対に見に行ける訳がない俺に、見に来てね、ってわざわざハガキ送ってくる亜美、なんだか本当になんだこいつって感じで、すげーなって俺は思ったんだよ。嬉しかったんだよ」

泣いてしまうかと思った。
そんなに嬉々として話すから。
わたしがいない時でもわたしのことを思い出してくれたり考えたりしてくれているのね。そういう人がいてくれるのね。
そう思ったらありがたくて、嬉しくて、泣きたくなった。
だって、そんなの、2年も前のハガキ。


ときどき、わたしたちは何を大切にしたらいいかわからなくなってしまう。
日々の徒然や喧騒に流されて、いろいろなことを見失ってしまう。
だけど、ずっと忘れないでいたいと思った。
今日のこの日を。
忘れるわけがないだろう。
でもどんなふうに言葉にしたらいいんだろう。
どうやって伝えたらいいのだろう。

上野のジャングル。まぶしい緑のもみじ。遠くから聞こえる放課後のような音。ギターの音。祈り。もっとちゃんとしたとこ。愛してくれている人。
すべてが初めてだった。

苦しい思いなど、しない…。
二度と会えないなんて、しない…絶対。
生きる。
どうか生きて帰れますように。
はるか遠くで祈っていて欲しい。
わたしたちがもう二度と純粋を手に入れられなくても。


別れ際に手を差し出した。
また会おうねって。
もっといっぱい話そうねって。


帰り道、携帯のランプが光った。圭さんからメールだ。
「またしばらく会えないならチューでもすればよかった」

…バカ。バカね。小学生の子供がいるくせに。
でも好きよ。

ありがとう。


今日の音楽:黄金の月/スガシカオ



月に叢雲花に風


学校の前に続く坂は長く、急だ。ボーダーのTシャツから出た腕や首筋に容赦なく夏の日差しが照り付ける。重たいカバンを左肩にかけてノロノロと歩く私を、原付やバイクの通学生が痛快に追い越していく。

前期最後の授業は英語だった。
わたしはこの教室から見える外の景色がわりと気に入っている。晴れた日には太陽の光を受けて、木々の葉がキラキラと透けて見えるのだ。

5分遅れて教室に入ったけれど、教授はまだ来ていなかった。わたしは教室の後ろに立って金色の頭の真佐美を探し、その横へ腰を下ろした。 

「今日はちゃんと来たんだね。サボリ魔亜美」 
へへへと笑いながらわたしはカバンの中からCDを取り出した。 
「これ、この前言ってたやつ。レザボア・ドッグズのサントラ」 
「あー!ありがと!アタシもちゃんと持ってきたよ。今日で授業最後だもんね」 
そう言って真佐美が机の上に置いたのは今までわたしが休んでいた授業のノートのコピ―だった。 
「恐れ入ります」 
わたしは笑いながら丁寧にお辞儀をして受け取った。 
真佐美はジャズ研でサックスを吹いている。5月にあったジャズ研のコンサートで隣に座り、友達になった。金色のクルクルの髪の毛が小柄な真佐美にとてもよく似合っている。赤いTシャツにダメージデニムのショートパンツ。ぺたんこのミュールにはピンクのビーズがついている。 

授業が終わってから、真佐美とシェリルと一緒にカラオケに行った。
シェリルは高校時代からの友達で、お菓子作りの学校に通っている。童顔にツインテール。カーデガンを首に巻く癖が暑苦しい。けどやめられないらしい。いつからか3人になった。それは、とても、よかった。
今日は3人とも、とても病んでいて、そして疲れていた。
「共同体に依存することはない」
いつだったか先生がそう言った。放課後の課外授業を抜け出して生徒指導室でひとり本を読んでいる時に。
「自分の体が気持ちいいと思うことをしろ。俺の喜びは、ユニコーンを聴きながら車で家に帰ること。野球とビールと枝豆。暑い日の昼間に浴びる水」
わたしはいつも先生の車の中でユニコーンを聴いた。

真佐美とシェリルはその点優れていた。わたしたちはいつも一緒で、いつも自分勝手で、いつも思いやりに溢れていて、いつも自由だ。とても気持ちがいい。
何も言わなくていい気がしてきた。
何も言わなくても一緒にいられるんだもの。
沈黙に耐えかねてシェリルが「…こぶ茶」と呟いた。
笑った。わたしたちにはそれがいい。
おのおの好き放題歌って帰った。アクエリオンだとか千本桜だとか林檎可憐歌だとか。


テストが終わったらすぐに夏休みだ。
わたしは夏が大好き。「夏休み」という言葉も好き。学生でよかったと思うのは夏休みがあること。その言葉には、少々無謀なことをしても許されるような響きがある。
 
どんな無謀なことをしようか。
出会ってしまおうか。


もういっそやめてしまおうか。




死ぬまでにしたい10のこと

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映画「死ぬまでにしたい10のこと」と「生きる」を比較。
比較できるようなものでは全然ないのだけれど、余命少ない外国の若い女性と、日本のおじさんの違い。

生きるとはどういうことなんだろうね。
小学校の頃に初めて「生きる」を見て、生きることとは、何かを作ることなんだ、生きた証を残すことなんだと勝手に解釈をした。そしてこの映画に憧れて黒澤明に憧れて、映画監督になりたいと思った。
今も、なりたいと思っているけどさ。
今は、生きることは愛することだと思ってる。そのへんは「死ぬまでにしたい10のこと」の主人公の考えに似てるのかもしれない。人でも物でもなんでもいいさ。二次元だっていいさ。
死ぬまでにしたいことリストなんて要らないなぁ…。この主人公のしたいことリストには反感を覚えるし。好き嫌い別れる映画だろうね。映像がきれいだったのと、悲劇っぽくなかったのは良かったけど。

わたしは愛したい。愛されたい。
そして人に迷惑をかけずに死にたい。
それだけだぁ。

それだけだぁ。



関係ないけど髪をショートにしようかと思ってる。
みおさめお団子かしゃん。

映画「リリイ・シュシュのすべて」

ファイル0007.jpg
なんかいちいちきれい。
鬱になるからあんまり見たくないんだけど見たい映画。
高校の時に男子におすすめされて見たんだ。なんでこんな映画をすすめたんだ。わたしならあんまりおすすめしないけど、でも、教えてくれてありがとう!

田園の風景も、カイトもきれいなんだけど、学校内での優しい光の使い方が好きだな。
これ全部デジカメで撮ったって知ってびっくりした。ファイナルカットで普通に編集してたとか。ん、プレミアだったかな。夜の光の使い方はさすがに無理があると思ったけどさ。デジカメでここまでできたらいいなー。やりたいなー。

salyuは今の声よりもこの頃の声のほうがわたしは好き。映画とマッチしてるのかもね。サントラのほう先に聴いてしまった。んで映画の「呼吸」の使われ方にびっくりした。なんだか曲がいきいきしてるよ、こんな曲だったっけなwって。

14歳のリアル。

岩井俊二、感情をえがくのがうまいな。

この映画見てこんなイジメないよって思ったけど、連日報道されるイジメの問題。
わたしが知らないだけでイジメはひっそりとあったのかもしれないな。あったのだろうな。
そして、なくなることはないんだろうな。
子供の狭い世界での自分の守り方。いじめることで自分を守ってる。
加害者は絶対に加害者で、かばう気は微塵もないけど…加害者の親はいったいどういう教育をしてきたんだろうといつも思うわ。何かに気付いてやれなかったんだろうか。しあわせならいじめなんてしない。甘い?そんなもんじゃない?でも家庭環境、大切。わたしは絶対にしあわせな家庭を作る。
簡単なことだよ、愛すればいい。

七夕

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いろいろなものを共有したいのよ。
毎日の学校の出来事も、友達の友達のはなしも、あのアンプがいいよってはなしも、今日が七夕だってはなしも。やっぱり今年も星は見えないねってはなしも。
共感してくれなくていい、その、時間、その、空気、ともにしたいの。
いっしょにいたいの。言葉などなくても。

オボカフェでカレー

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噂のオボカフェ、硝子ちゃんと行ってきました!ロットマンを置いて!w

まず…これは絶対に道に迷うwwひとりだったら完全に迷子だよ(*´Д`*)
あと、謎の世田谷線の電車が変…なにこれバスみたい…。

なのは置いといて、

噂の隠れ家的カフェバー、オボカフェに行ってきましたよ♪
お店の中が雑貨屋さんみたいですごく面白い!楽器あるし、本棚すごいし、ガンダムいっぱいあるwww

カレー美味しかったぁ。良かったぁ(*´▽`*)
居心地良かったぁ。
趣味でやってるような楽しそうな雰囲気いいね。
ぼんやり過ごせる感じ。

また行きたい(*´ω`*)


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